大学入試センター試験の問題などの解説

2009年北海道大学(前期)化学解説

2009年北海道大学(前期)化学の解説  

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問1 ルシャトリエの原理から、高温にすると吸熱反応が起こりやすくなる。高温で溶解度が下がるということは、Ca(OH)2の溶解は吸熱反応ではなく、発熱反応だということ。

問2 共通イオン効果、再結晶の意味は問題文に書かれている通り。

問3 Sr(OH)2=122, 8H2O=144, Sr(OH)2・8H2O=266
Sr(OH)2・8H2Oをxg溶解したとすると、含まれるSr(OH)2の質量は (122/266)xg である。
水:溶質 100:3.56=1000:(122/266)x を解いて、x≒77.6g。
Sr(OH)2・8H2Oの77.6gから出る水の質量は (144/226)×77.6≒42.0g なので、
必要な水の質量は1000-42=958g。

問4 Ca(OH)2は低温で溶けやすく、高温で溶けにくい。Sr(OH)2・8H2Oは高温で溶けやすく、低温で溶けにくい。

問5 Ca(OH)2もSr(OH)2も溶けにくい温度の方に移動するが、Sr(OH)2の方が溶解度の温度変化が大きい。
(溶けにくい温度の方で飽和溶液になるが、その溶液を溶けやすい温度の方に移動すると、溶け残りを溶かすことが出来る。逆に、溶けやすい温度の方で飽和した溶液を溶けにくい温度の方に移動すると、溶けきれなくなって固体が生じ、溶けにくい温度での飽和溶液となる。その結果、Ca(OH)2もSr(OH)2も溶けにくい温度の方に移動することになる。)

問6 平衡状態では、溶けやすい温度の方でも溶けにくい温度の方での飽和溶液の濃度になっている。(そうなっていないと、Ca(OH)2、Sr(OH)2は移動する。)

問7 容器Aには、その温度で溶けにくいSr(OH)2・8H2Oが析出している。
また、問6に書いた通り、Sr(OH)2の濃度は容器A,Bのどちらも10℃での飽和溶液の濃度になっており、Sr(OH)2は水100gに0.49g溶けるから、2000gでは9.8g溶けていることになる。
Sr(OH)2の9.8gは、Sr(OH)2・8H2Oの
(266/122)×9.8≒21.4g に相当するから、
200-21.4=178.6g が析出していることとなる。

問8 水に溶けている量が少なければ少ないほど固体が多く析出する。

問9 水酸化カルシウム→炭酸カルシウム→炭酸水素カルシウム の基本的な反応。

 

I  

問1
(ア)アボガドロ定数をNAとかくことにする。
単位格子の質量をxgとすると
NA個:Mg=2個:xg を解いて、x=2M/NA (g)
よって、密度D=x/V=2M/NAV=M/{(3.0×10^23)V}
(イ)BaFe12O19=1113
D=1113/(3.0×10^23×6.8×10^-23)≒5.5(g/cm3)

問2 HNO3=63
希硝酸1Lで考えることにする。
希硝酸1L中のHNO3は1mol=63g。
濃硝酸xmLを薄めて希硝酸1Lにしたとする。
濃硝酸xmLの質量は1.4xg。
溶けているHNO3の質量は1.4x×0.60=0.84x(g)。
これが63gと等しいから 0.84x=63 を解いて、x=75(mL)。
1L=1000mLにするには、1000/75≒13(倍)に薄めればよい。

問3 2Fe(OH)3 → Fe2O3 + 3H2O、Ba2+ + SO42- → BaSO4

問4 Fe2O3=160、BaSO4=233
試料1gに含まれるFe, Baの物質量はそれぞれ 12/1113(mol)、1/1113(mol)である。
Feの2molからFe2O3は1mol=160g出来るから 12/1113(mol)からは
(12/1113)×(160/2)≒0.862g。
Baの1molからBaSO4は1mol=233g出来るから 1/1113(mol)からは
(1/1113)×(233)≒0.209g。

II  

問1 
Ag+ + Cl- → AgCl↓
2Ag+ + CrO4^2- → Ag2CrO4↓
2CrO4^2- + 2H+ → Cr2O7^2- + H2O
2Ag+ + 2OH- → Ag2O + H2O

問2 AgNO3=170
CrO4^2-は指示薬として入れており、AgClの生成には無関係。
AgNO3溶液の濃度は (0.68/170)/(50/1000)=0.080(mol/L)
Ag+ と Cl-は1:1で反応するから、食塩水の濃度C(mol/L)として
12.50×0.080=5.0C
これを解いて、C=0.20(mol/L)

問3
Ag+は最初0で、12.5mL以降増加していく。
AgNO3溶液20mL加えたところで、溶液全体の体積は40mLになっており、Ag+は12.5mL以降の7.5mLの分だけ存在することから濃度を求めると
7.5×0.080/40=0.015(mol/L)。
Cl-は最初0.20mol/Lを4倍に薄めているから0.050mol/Lで、AgNO3溶液12.5mL加えたところで0。

 

I  

問1、2、4
考えうる炭素骨格は
C-C-C-C-C  C-C-C(C)-C  C-C(C)2-C
である。
Aは酸化されにくいから、第3級アルコールで
CH3-CH2-CH(CH3)(OH)-CH3

Cはヨードホルム反応を示すことからCH3-C(OH)-の構造を持つ。
①CH3-CH2-CH2-CH(OH)-CH3  ②CH3-CH(OH)-CH(CH3)-CH3
が候補であるが、分子内脱水によって以下の3種類のアルケンが生じるのは前者①である。(後者②はシス、トランスが存在しない。)
E,F CH3-CH2-CH=CH-CH3(シス、トランス)
G CH3-CH2-CH2-CH=CH2

分子内脱水によってE,Fが生じるBは
CH3-CH2-CH(OH)-CH2-CH3

Dの酸化生成物は銀鏡反応を示すことからアルデヒドであり、Dは第1級アルコールである。
そのうち、光学異性体を生じるのは
CH3-CH2-C*H(CH3)-CH2OH
である(*が不斉炭素原子)。

問5 不斉炭素原子を持つのは上に挙げたCの候補②である。

問3 Cr2O7^2- におけるCrの酸化数は+6、これがCr^3+になるので、Cr2O7^2- 1個あたり、電子は6個受け取ることになる。
Oが付いているC原子の酸化数は、アルコールのとき0、ケトンのとき+2だから、電子を2個放出する。

II  

問1 (a)複合タンパク質、(b)グリコシド結合(エーテル結合は△?)、(d)等電点については、意味を教科書等で調べること。
(c)酢酸は、図の糖の環の下の方のアミド結合のところが切れて生じる。

問2 ニンヒドリンはアミノ基と反応する。

問3 フェーリング反応は、還元性のある糖があるときに赤色沈殿(Cu2O)を生じる反応。

問4
Dが硝酸で黄色を示すのはベンゼン環がニトロ化されたからである。また、酸性を示すフェノール性のヒドロキシ基を持っている。
Eについては、原子数の比を求める。
C:H:N:O=(34.3/12):(6.7/1):(13.3/14):(45.7/16)≒2.85:6.7:0.95:2.85≒3:7:1:3

問5 もっとも陽極側に移動するのは、そのpHで陰イオンになっているものである。Fはカルボキシル基を2つ持っており、陰イオンになっている。
Dのヒドロキシ基は非常に弱い酸であるから、ヒドロキシ基部分はほとんど電離していない。
Eは双性イオンないし陽イオンであろう。